みどり未来パートナーズでは、四国および中国、特に香川県および岡山県の後継者不在企業の事業承継型M&Aを得意としています。譲受先がすぐに見つかるのは資産超過&黒字の優良企業ですが、中には債務超過&赤字企業でも譲受先が見つかる場合があります。
今回は債務超過&赤字企業のM&Aの事例をご紹介します。
なお、今回の事例では、弊社・みどり未来パートナーズは、買い手企業側アドバイザーおよび買収監査(デューデリジェンス)を担当しました。
香川県の企業が岡山県の企業をM&A
M&Aは、売り手・買い手の業種によって、下記の3パターンに分けられます。
(1)売り手・買い手が同業種同士のM&A
(2)隣接業種のM&A
(3)異業種のM&A
また、売り手・買い手の営業エリアによって、下記の2パターンに分けられます。
(1)売り手・買い手の営業エリアが重複しているM&A
(2)営業エリアが異なるM&A
今回の事例は、売り手と買い手が共にコンサルタント会社で同業種同士、営業エリアは売り手・岡山県、買い手・香川県と異なっていました。
売り手は債務超過&赤字、しかも売上が減少傾向
買い手企業は弊社がM&A取引を複数回お手伝いしており、最初に売り手企業の株価算定をして欲しいという依頼がありました。帳簿上は若干の資産超過、若干の黒字でしたが、粉飾決算の疑いがあり、株価算定はできない、実態は債務超過&赤字の可能性も高く、買収は止めた方が良いというアドバイスをさせていただきました。
余程の理由がなければ、債務超過&赤字の会社を買うことはお勧めしませんし、買い手もそのような会社を無理して買うことはありません。
ただ、今回は債務超過&赤字であることは想定済みで、M&Aを実施する基本方針が決定しており、その前提でアドバイザーとして関わって欲しいとのことでした。
ちなみに粉飾決算を疑ったのは、売上規模に比して仕掛案件や未収金が過大であったり、売上が変動しているにも関わらず利益は毎期若干の黒字という分かりやすいものでした。
取引が成立したポイント
上手く成立することが難しい債務超過&赤字企業のM&Aですが、成功のポイントが幾つかありました。
(1)参入障壁の高い業種・業態であり、買い手企業が業容拡大のため地元・香川県から隣県・岡山県への進出を目指す中でリスクを怖れるより、メリットを活かそうとする前向きさがあったこと。
→これまで30社超のM&Aをお手伝いし、相当数の経営者にお会いしてきましたが、買い手としてM&Aを成功させている経営者に共通しているのは、リスクを必要以上に怖れず、メリットを生かそうとするところです。
(2)買い手が売り手と同業種であったため、買い手が売り手の強みを十分に理解し、M&A後の経営改善方法を具体的にイメージできていたこと。
→同業種のM&Aは、買い手の理解が深いだけに買い手がリスクを指摘して買収価格を引き下げるというマイナスの側面もありますが、本件は債務超過のため買収価格の引き下げが難しいことに加えてメリットを理解できることがプラスとなりました。
(3)売り手企業が協力的で、粉飾決算を認めた上で詳細資料を開示してくれたこと。
→買い手企業が「債務超過&赤字を疑っているが一定水準の債務超過であれば飲み込む用意がある」と事前に売り手企業に伝え、誠実な対応を促したことが良かったと思います。
買収監査(デューデリジェンス)の結果、株価評価△8,000万円(8,000万円の債務超過)となった売り手企業を1円で買収しましたので、8,000万円の営業権(のれん)がついたことになります。
債務超過&赤字企業が本件のように相乗効果の高い買い手企業に巡り合い、高い評価を得られることは稀ですが、最近ではM&Aの認知度も上がっており、M&Aマッチングサイトの利用やM&Aアドバイザー同士のマッチングによって、売り手・買い手ともにハッピーなM&Aが増えているように感じます。
参入障壁の高い業種や特殊な技術・顧客を有する会社は思わぬ高評価を得られることがあります。「灯台もと暗し」とはよく言ったもので、自社の強みには気付きにくいものです。自社の強みを知ることは、自社を親族に承継するにしても第三者に承継する(M&A)にしても大切なことです。
事業承継にお悩みの経営者様はお気軽にご相談いただければ幸いです。