先般、国土交通省のウェブサイトで、「中小建設企業のための生産性向上支援ガイド」
が公表されました。
当サイトは、令和2年度に実施された「地域建設産業 生産性向上・事業継続支援事業」において、
専門家が支援した多能工育成・ICT活用・事業承継・M&Aなどの優良事例を集めたもので、
弊社グループのコンサルタントも、当事業のエリアマネージャーやアドバイザーとして
携わらせて頂きました。
この中で、公表された事例の中には、複数のM&Aの事例が含まれています。
「生産性向上」事例にM&Aと聞くと、少し不思議に思うかもしれません。
しかし、従来は主に事業承継対策の側から注目されてきた中小企業のM&Aが、
近年では成長戦略の1つとして関心が高まってきている、
ということがいえるのではないかと思います。
生産性を向上し、より収益力を高めていく成長戦略としてのM&Aが、
建設業でも増えてきているのです。
増加している成長戦略としてのM&A
もともと建設業では、建設業許可や経営事項審査の引き継ぎの問題や、
特に地域ゼネコンでは、「経営トップの顔」など属人的な要素が強く働く業界慣習もあり、
M&Aが難しい業種と言われてきました。
しかし、それでも昨今では、建設企業の事業承継全体の11%をM&Aが占めるようになっており、
件数ベースでいえば、2015年度から2019年度までの5年間で、6倍に増えてきています。
(中小建設企業のための生産性向上支援ガイドより)
建設業界でのM&A増加の背景
その背景にはまず、建設業界では、後継者不在が特に深刻だという売り手側の事情があるでしょう。
下図の通り、業種別後継者不在率では、建設業がトップで70%を超えています。