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国土交通省が中小建設企業のM&A優良事例を公表【M&Aの知識】

投稿日:2021年8月11日 最終更新日:

先般、国土交通省のウェブサイトで、「中小建設企業のための生産性向上支援ガイド
が公表されました。
当サイトは、令和2年度に実施された「地域建設産業 生産性向上・事業継続支援事業」において、
専門家が支援した多能工育成・ICT活用・事業承継・M&Aなどの優良事例を集めたもので、
弊社グループのコンサルタントも、当事業のエリアマネージャーやアドバイザーとして
携わらせて頂きました。

この中で、公表された事例の中には、複数のM&Aの事例が含まれています。
「生産性向上」事例にM&Aと聞くと、少し不思議に思うかもしれません。
しかし、従来は主に事業承継対策の側から注目されてきた中小企業のM&Aが、
近年では成長戦略の1つとして関心が高まってきている、
ということがいえるのではないかと思います。

生産性を向上し、より収益力を高めていく成長戦略としてのM&Aが、
建設業でも増えてきているのです。

 

増加している成長戦略としてのM&A

もともと建設業では、建設業許可や経営事項審査の引き継ぎの問題や、
特に地域ゼネコンでは、「経営トップの顔」など属人的な要素が強く働く業界慣習もあり、
M&Aが難しい業種と言われてきました。

しかし、それでも昨今では、建設企業の事業承継全体の11%をM&Aが占めるようになっており、
件数ベースでいえば、2015年度から2019年度までの5年間で、6倍に増えてきています。
中小建設企業のための生産性向上支援ガイドより)

 

建設業界でのM&A増加の背景

その背景にはまず、建設業界では、後継者不在が特に深刻だという売り手側の事情があるでしょう。
下図の通り、業種別後継者不在率では、建設業がトップで70%を超えています。

中小企業庁「2021年版中小企業白書_第2部_第3章」より第2-3-23図

後継者不在を理由に、事業承継を行えずに黒字廃業するケースも少なくありません。
そのような場合、それらの企業が有する技術力や人材が業界から失われることになり、
担い手不足に悩む産業全体にとって大きな痛手です。
そこで、従業員の雇用や技術を維持するためにM&Aを模索していくことは、
売り手側そして業界全体のニーズとして、近年では底堅いものがあります。

 

高まる買い手側のニーズ

一方で、買い手側のニーズも高まっていると感じます。
建設企業が勝ち残りのために抱える経営課題は、担い手不足の解消に加え、
コロナ禍での受注機会の確保や、働き方改革、DX化等々、
様々な時代の要求に対応していくことが求められています。

これらの対応のために、事業領域(地域、事業分野)の拡大や、
人や技術・設備の充実化を図っていくには、自社の経営資源だけでは難しく、
M&Aがより現実的な選択肢となってきています。

国としても、建設企業の再編促進のために、様々な制度変更等の環境整備を行っています。
今回の優良事例の公表も、その促進策の1つといえるでしょう。

このように、建設企業にとってM&Aはより身近になっていますが、それに応じて、
建設業ならではの課題や特殊性を理解した専門家の重要性も高まっていると感じています。

弊社グループでは、長年、建設企業の経営コンサルティングに携わってきたチームと、
M&Aチームとが連携しながら、関わって頂いた方の「All Success M&A」を
モットーにしたご支援を行ってまいります。
お気軽にご相談ください。

先般、国土交通省のウェブサイトで、「中小建設企業のための生産性向上支援ガイド」が公表されました。
当サイトは、令和2年度に実施された「地域建設産業 生産性向上・事業継続支援事業」において、専門家が支援した多能工育成・ICT活用・事業承継・M&Aなどの優良事例を集めたもので、弊社グループのコンサルタントも、当事業のエリアマネージャーやアドバイザーとして携わらせて頂きました。

この中で、公表された事例の中には、複数のM&Aの事例が含まれています。
「生産性向上」事例にM&Aと聞くと、少し不思議に思うかもしれません。
しかし、従来は主に事業承継対策の側から注目されてきた中小企業のM&Aが、近年では成長戦略の1つとして関心が高まってきている、ということがいえるのではないかと思います。

生産性を向上し、より収益力を高めていく成長戦略としてのM&Aが、建設業でも増えてきているのです。

 

増加している成長戦略としてのM&A

もともと建設業では、建設業許可や経営事項審査の引き継ぎの問題や、特に地域ゼネコンでは、「経営トップの顔」など属人的な要素が強く働く業界慣習もあり、M&Aが難しい業種と言われてきました。

しかし、それでも昨今では、建設企業の事業承継全体の11%をM&Aが占めるようになっており、件数ベースでいえば、2015年度から2019年度までの5年間で、6倍に増えてきています。(中小建設企業のための生産性向上支援ガイドより)

 

建設業界でのM&A増加の背景

その背景にはまず、建設業界では、後継者不在が特に深刻だという売り手側の事情があるでしょう。
下図の通り、業種別後継者不在率では、建設業がトップで70%を超えています。

中小企業庁「2021年版中小企業白書_第2部_第3章」より第2-3-23図

後継者不在を理由に、事業承継を行えずに黒字廃業するケースも少なくありません。
そのような場合、それらの企業が有する技術力や人材が業界から失われることになり、担い手不足に悩む産業全体にとって大きな痛手です。
そこで、従業員の雇用や技術を維持するためにM&Aを模索していくことは、売り手側そして業界全体のニーズとして、近年では底堅いものがあります。

 

高まる買い手側のニーズ

一方で、買い手側のニーズも高まっていると感じます。
建設企業が勝ち残りのために抱える経営課題は、担い手不足の解消に加え、コロナ禍での受注機会の確保や、働き方改革、DX化等々、様々な時代の要求に対応していくことが求められています。

これらの対応のために、事業領域(地域、事業分野)の拡大や、人や技術・設備の充実化を図っていくには、自社の経営資源だけでは難しく、M&Aがより現実的な選択肢となってきています。

国としても、建設企業の再編促進のために、様々な制度変更等の環境整備を行っています。
今回の優良事例の公表も、その促進策の1つといえるでしょう。

このように、建設企業にとってM&Aはより身近になっていますが、それに応じて、建設業ならではの課題や特殊性を理解した専門家の重要性も高まっていると感じています。

弊社グループでは、長年、建設企業の経営コンサルティングに携わってきたチームと、M&Aチームとが連携しながら、関わって頂いた方の「All Success M&A」をモットーにしたご支援を行ってまいります。
お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

犬飼 あゆみ(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業。大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。企業評価における事業DDのスペシャリスト。また、事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)を策定し、その実行支援を行う。

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