コラム企業再生・民事再生案件レポート

事業再生型のM&A【案件レポート】

投稿日:2020年7月1日 最終更新日:

我々グループでは、主に四国、東京はじめ関東地区、岡山等を中心にM&A、事業再生コンサルティング等を永年展開しておりますが、今回は過去に扱った事業再生型のM&Aの事例をご紹介しようと思います。

 

四国の老舗製造業の事例

今回ご紹介するのは、四国有数の老舗企業であった製造業の事例です。
この会社は当時、直近の10年間程は毎年赤字が続いており、実は大幅な債務超過に陥っておりました。
一方、銀行に対しては大幅な粉飾決算を行っており、その実態の窮状は社長と財務担当役員を除き、誰も知らなかったのです。
当然資金繰りも逼迫しており、ついに銀行からも追加融資はできないと言われた結果、3代目のA社長は民事再生の申し立てに踏み切ったのです。

ところが、申し立てはしたものの、その後の事業回復の目途が立たず、申し立て代理人弁護士を通じて、弊社にどうすればいいかと相談がありました。この時点では、廃業がいいのか、それとも存続して再生を目指す方がいいのか明確な意向が決まらない状況でした。

 

成功へのストラテジー

まず我々は、当社の事業について調査を行いました。
その結果、当社にしかない優れた技術力を有することが判明したのです。(民事再生後も売上だけは、ほとんど減少しませんでした。)

また、A社長には後継者もいなかったことにより、ここはスポンサー企業を探して経営者に交替してもらい再起を図る方がいいとの結論になり、新スポンサーには、経営が安定するまで我々も一緒に協力することを条件に支援をお願いしました。(一方でA社長に対し、その後の生活の保障などをきちんと確保したことも成功した要因と考えています)
その結果、従業員も基本的に一人も首を切ることなく、V字回復を達成し、数年たった今では、非常に安定した企業に生まれ変わっております。

 

本件の再生へのポイント

1. M&A(営業譲渡)による、経営者の交代
利益意識と、リーダーシップのある新経営者が就任したことにより、社内の雰囲気ががらりと変わりました。

2. 幹部を中心に、従来の役職員に対し、数字を公開し、責任と権限を持たせた
基本的に経営者以外の人員の入れ替えはありません。
経営の実態を皆にきちんと伝え、旧経営者にも深々と頭を下げてもらった結果、事実を知った役職員は、自分も会社にとって貢献しなければという当事者意識が強烈に芽生えました。

3. 管理会計の導入により、案件ごとに数字できちんと管理できるようにした
これは弊社のバックである税理士法人の協力を得られたからできたものです。
この結果、赤字価格で獲っている案件も個別に把握することができるようになりました。これらについては、きちんと合理的に取引先と交渉し、値上げを実現することができました。

4. 第三者機関のモニタリングを導入
これは、弊社コンサルティング部門が担当しました。管理会計に基づくきちんと見える化された数字に基づき、毎月の会議でこれを更に改善するにはどうするかを社員の皆さんと地道にPDCAを回した結果、業績は大幅に改善していきました。

如何でしょうか?
この会社がその結果、どうなったかというと、過去10年間で20億の赤字を累積させた企業が、営業譲渡初年度より、黒字転換し、その後も売上げは堅調に推移中で、経常利益率5%以上を確保しております。

再生の方法は無限にあると言われております。
その場にあったベストの選択肢を提供できるべく、我々は、グループ全社体制で、M&A、業務提携、事業承継、経営コンサルティング、管理会計の導入、経営の合理化支援、補助金等の導入支援等を手掛けております。
もし経営上のお悩みがございましたら、どんなことでもお気軽に我々にご相談くださいませ。

この記事の執筆者

久保 将俊(株式会社みどり合同ホールディングス 取締役)

慶應義塾大学商学部卒。地方銀行勤務、環境関連ベンチャー企業立上げを経て、平成14年に当社に入社。各種中小企業再建計画の策定や、企業の実態に合わせた現実的な再建スキーム、M&Aコーディネート等の経験が豊富。企業、公的機関での研修・講師・講演実績も多数。

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